王冠集め

子供のころ、王冠集めやりませんでしたか? そうです、瓶の飲み口の少しふくらんだところとしっかり噛み合って、瓶を密封している周りがギザギザしたあの蓋です。もちろん今でも様々な瓶ものの蓋として使われているものですが、その歴史は意外と古く、1892年にアメリカのウィリアム・ぺインターという人が発明したものだそうです。

 

尤も、時代も移り変わり、最近では手に持って飲む飲料容器の多くがペットボトルになりましたが、ジュースが入った瓶の王冠の蓋を、栓抜きを使わずに手で開けられるようになると、少し手が痛いもののなんだかちょっぴり大人になったような気分を味わえたものです。しかも栓抜きを使うと真ん中から折れ曲がってしまいますが、手で開けると王冠がキレイなままで、手が痛かったことなどすぐ忘れてしまう、ちょっとした嬉しさを覚えたように思います。実際に珍しいものも少なくなく、今でもコレクターズアイテムとして価値のあるものも多数ある様ですが、子供心には、普通に手に入るものであっても、ちょっとキレイで何となく大切な、ポケットに入る自分だけの宝物でした。

 

何でもないものでも、見方を変えるだけでいろいろなものに見えてきたりします。同じ服でも、着こなしで雰囲気をガラリと変えられますし、同じおもちゃでも、遊び方の工夫は説明書には書いていないところに面白さがあったりします。そんなところから、やがて自分なりの解釈を加える力が育っていくのかと思いますが、ただ新しいもの、次のものを求めるのではなく、立ち止まって、フラットに違ったところから眺めてみる、見つめ直してみることをいつも忘れずにいたいものだと思います。

 

追い立てられて、眉間にギザギザのしわを寄せてばかりいては何も生まれないですものね。

 

 

終活支援サイト『のこす記憶.com』がお届けする『のこす記憶.comコラム』では、日常生活の何気ない一コマから、のこし伝えていきたい記憶を不定期更新で綴ってまいります。

 

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