破れたソファー

じめじめと蒸し暑い日が続きます。例年であれば関東地方でもそろそろ梅雨明けの時期、これからいよいよ夏本番をむかえますが、アパレル関係の人に聞いた話では、夏場はズボンのお尻が破けることが多くなるそうです。生地が薄手だから? それも理由のひとつですが、厚手のデニムパンツでもやはり夏場に破れやすくなるのは、どうやら汗が関係しているみたいです。どんなに丈夫な生地でも濡れてこすられることには弱いそうで、いつも椅子とお尻の間で頑張ってくれているズボンも、汗スチームでいつもより摩擦の影響を受けやすくなってしまうみたいですね。それに加えて、もちろん汗で汚れたらお洗濯の機会も増えますし、夏場は衣服にとって想像以上に過酷な時期の様です。

 

生地といえば、穿くもの、つまり座る側だけではなく座られる側の椅子にも使われていることも多いですね。先日、長年使っていたソファーの一部がついに破けてしまいました。あれェ、生地が薄くなってきたなぁ、と思い始めてからは結構早かった様に思います。見えないところでずっと頑張ってくれていたのですね。そこは思えばいつも座る場所、知らず知らずのお気に入りの場所には、まるでそこに座って過ごしたたくさんの時間が、たくさんの記憶がパンパンにつまっていて、ついに破けてしまった様にさえ見えました。

 

いろいろな物に対して、壊れたり、ダメになってしまったらすぐ新しいものに交換する、ということがどうしても多くなってきているかと思います。確かに新しくすることで却って節約になるなど、技術の進歩による良い面がある場合も多々あるかとは思いますが、その一方で少しくらい壊れたり、破れてしまったりしても、きちんと直して使い続けることで、より味わいが深まるものだってたくさんあると思います。

 

いつも家のみんなが、なんとなく決められた場所に座っているソファーは、日々の暮らしの記憶が折り重なったもののように思えます。そしてそれは、長い家族の歴史を語り続けてくれているものかもしれないですね。破れてしまったところを繕い直して、そこからまた新たな家族の記憶が重ねられていくのかもしれません。

 

終活支援サイト『のこす記憶.com』がお届けする『のこす記憶.comコラム』では、日常生活の何気ない一コマから、のこし伝えていきたい記憶を不定期更新で綴ってまいります。

 

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