ロックの歌詞から面白いなあと感じるところを切り取って、勝手に仏教解釈をしてみます。マイロック人生において、こういう難しいロックもあるんだなあと勉強になったBad Religionから、代表曲とも言えるAmerican Jesusです。
We’ve got the American Jesus
Bolstering national faith
We’ve got the American Jesus
Overwhelming millions every day
皮肉たっぷりのこの曲、パンクっぽくて好きです。Bad Religionは歌っているグレッグ氏が学者なせいか、とても歌詞は難しく真面目にパンクしてます。あんま不良っぽくない。だからなのかメッセージは明確かつ強力で、あんまファンタジってない。ステージもやたら普段着なので、親近感湧くんですよね。ホント、そこらへんにいるフツ―のおっちゃんって感じで、失礼ながら最近は頭もさっぱりしつつあるようです。
アメリカの神様は国家の信念を支えており、何百万人の人々を毎日圧倒しているとのことです。これは2回目のサビです。そもそもBad Religionっていうバンド名からして、何やらアメリカの宗教、つまりキリスト教、主としてプロテスタントを揶揄している雰囲気ありますよね。バンドのロゴは十字架禁止を意図したようなデザインです。この歌詞がアメリカ万歳、神様万歳を意味しないことは明白です。
地球上では歴史的にも現代的にも、宗教は政治と密接に関係していることが多いようです。日本も実はそうですが、欧米のキリスト教ほどではないかもしれません。そこは一神教とアジア的な多神教・汎神教の違いなのかも。日本だと宗教的な義務感ってあまり感じない、と言うかないに等しいですよね。一神教は唯一神のもと統合されるので、上意下達でこうあるべきだ論的に民意が動いていくことも多いのかなあ。
グレッグ氏において、神はいつの間にかアメリカという国家仕様になってしまったように見えるのでしょう。アメリカの振る舞いすべてを支える存在として、神は換骨奪胎されてしまった。グレッグが無神論者あるのかは分かりませんが、おそらく無神論者ではないでしょう。私にはそう思えます。宗教、キリスト教の人類的意義を真面目に考えているがゆえ、敢えて無頼に振舞っているかのようです。坊さんとして、グッときますね。
善福寺 住職 伊東 昌彦
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