ロックの歌詞から面白いなあと感じるところを切り取って、勝手に仏教解釈をしてみます。
The only thing real is the way I feel
And that’s the pain that’s deep inside
The battle from within is gonna begin
And there ain’t nowhere to hide
(War inside my head) Can you sense it
(War inside my head) Can you see it
(War inside my head) Can you feel it
(War inside my head)
今回はアメリカ西海岸のハードコアバンド、Suicidal TendenciesのWar inside my headから引用してみました。このバンドは能天気そうに見えるスケーターに人気がありますが、歌詞は結構内面的で暗いものが多く、私の好みです。そもそも、バンド名自体、直訳すれば「自殺的傾向」ということで、何だか問題を抱えていそうな名前ですよね。
さて、これは頭のなかでの葛藤を歌っていると思うのですが、唯一本当の事柄というものは自分の感覚なのだと言います。なるほど、現実は心によっているとする唯識思想に通じるものがあり、興味をそそられます。また、それは痛みであり、深い内面的なところからもたらされるとのことです。痛みという部分は、仏教的には苦悩としたほうが分かりやすいですね。仏教ではまさに、この世は四苦八苦だと説きますので、痛みの連続とも言えるでしょう。
これを内面的な戦いなんだと表現するところが、やや仏教では難しいかもしれません。隠れるところがないというのは、まさにその通りであり、自分と向き合っていれば、自から隠れるところはありません。ただ、何かと対峙して戦うというのは、もう一歩踏み込んで、相手は自分自身なんだということ、いえ、相手など存在せず、すべては心のなかにある自分自身の問題なのだと突き詰めたいところです。
善福寺 住職 伊東 昌彦