お盆

毎年7月から8月にかけてはお盆の季節です。お盆の起源については諸説ありますが、先祖を偲ぶことは日本人としての美徳の一つであると言えるでしょう。

 

命はつながりをもって今、他でもない私のもとで営まれています。生きるということは、先祖の命、つまりこの世での生活など、生老病死や喜怒哀楽と無関係ではないわけです。これは父母の存在を思えば、自から理解できることでありましょう。

 

仏教の考えによりますと、私が今こうして生きているということは、根本的には過去世からの自分の行為やその影響によっています。悪い行いをすれば地獄に行くというわけです。人として生きているということは、地獄へ落ちるほどではなく、仏教に出会ったり、物事を考えるような巡り合わせになったということなのでしょう。

 

しかし、この世を生きるためには、まずは父母の存在が必要になってきます。私たちは前世と現世の間におきまして、自ら父母を選ぶこともあるとも言われますが、母の胎内に転生することで、この世を生きる肉体と命をいただいているのです。こうしてようやく、連綿とした生命の営みのなかに参加することが出来ています。

 

お盆は仏教思想にもとづいていますが、日本人が古来より命のつながりを率直に感じてきたからこそ、今もなお大切にされているものなのでしょう。

 

善福寺 住職 伊東 昌彦

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