歴史をふりかえることと『明治の日』

まだ少し先の話でもありますが、2020年の東京オリンピックよりは2年前、と聞くと、急にすぐ先のことのように感じられることがあります。それは、明治維新より150年―、2018年はそのような節目の年となりますが、特にゆかりの深い国内各地を中心に、様々なイベントが企画される中、「明治の日」の制定求めた国会議員による集会についてのニュースも耳に新しいかと思います。

 

11月3日は現在、文化の日という国民の祝日のひとつですが、これがかつて明治天皇誕生日であったことをご存知の方は、だんだん少なくなってきているのではないでしょうか。

 

時代をさかのぼること凡そ1世紀、1912年(明治45年/大正元年)に公布・施行されたの「休日ニ関スル件」により、日本では今上天皇の誕生日、及び先帝の崩御日をそれぞれ国民の休日とすることが定められましたが、当時、今上天皇誕生日は『天長節』、先帝崩御の日は『先帝祭』と呼ばれていました。今上天皇誕生日を基準とする国民の休日ですので、当然天皇崩御、天皇践祚のタイミングで休日は変わることになりますが、1926年(大正15年/昭和元年)12月25日の大正天皇崩御ならびに昭和天皇践祚に伴い、同年3月4日に改正された「休日ニ関スル件」により、今上天皇である昭和天皇から数えて先々帝にあたる明治天皇の誕生日が、近代日本の礎を築いた功績を偲ぶという形で『明治節』という休日とされました。

 

 

その後、1948年(昭和23年)に現行の休日法「国民の祝日に関する法律」(祝日法)が施行、同時に「休日ニ関スル件」が廃止され、天長節は天皇誕生日として今も国民の休日となっているので、学校や会社がお休みとなる方も多く、今日は何でお休みなのかということに思い至りやすいかと思います。ただ、戦後の様々な思惑が絡み合う中、『明治節』は、昭和23年に公布・施行された祝日法によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」であると定義される『文化の日』という形で、現在も国民の祝日としてのこされています。

 

いつの時代も、どんな国でも、大きく変わろうとする時にはさまざまな試行錯誤がなされ、改革とは痛みを伴う前進の努力と言い換えることができるかもしれません。当然うまくいくこともあれば、失敗もまたあります。明治という時代もまた、そのような歴史の大転換期のひとつでありましたが、少なくとも先人たちの近代化に向けた努力の過程で立憲制度を達成したことや、全国一律の教育制度が必要との認識に立ち義務教育が開始されたことなど、今日の私たちの当たり前が、大変な苦労の末につくられた時代であったことに改めて思い致すということには、大切なふりかえりの意味があるのではないかと思うのです。

 

歴史は繰り返す、とよく言われますが、歴史には国の歴史もあれば、個人の歴史もありますし、そこには成功の記録もあれば、失敗の記憶もまたあります。そして人はそこから学ぶことで、成功をより大きなものとできたり、また同じ過ちを犯さずにすんだりすむことが多くあるはずです。時代の移り変わりが激しくなり、その速度が今までとは比較にならない早さであることを日々感じさせられる現代社会ではありますが、それでもそこが人の暮らす世界であることには変わりがなく、そこにはやはり何かしらヒントとなる『歴史の繰り返し』が存在することもまた事実ではないでしょうか。誇れる自分も、本当はあまり伝えたくない自分の姿も含めて、自分の歴史をのこしつたえていくことが、思わぬところで次の世代の役にたつこともきっとあるかと思います。

 

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