旅の記憶と風の匂い

秋の行楽シーズン、お休みを利用して紅葉狩りや温泉、それに美味しいものを求めて、日常から少し離れたところへと足をのばすことが楽しみな季節真っ盛りですね。

 

日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、訪日外国人の数は、今年10月推計値で、これまでで最高であった2015年からさらに16.8%増の213万6千人、しかも今年1月~10月合計地でも初の2,000万人突破とのことで、アジア圏を中心とした対外的要因に加え、海路空路での路線拡大や増便、各種イベント開催や各業界連携しての訪日・インバウンド施策が成果として表れてきているためと考えられています。

 

少し涼しいくらいで過ごしやすく、目で楽しむもの、食べて楽しむもの、体験して楽しむものなど、五感で日本を満喫できる秋は、やはり国内外の旅行客を惹きつけずにはいない様です。

 

とりわけ人気の観光地であれば当然開発も進みますし、久しぶりに訪れてみるとガラリと雰囲気が変わっていて驚いたことがある、なんてよくある話かとも思います。懐かしいお店がなくなってしまっていたり、新しい魅力を発信しているところができていたりと、変わりゆく姿に寂しさと楽しさが混ざり合ったような気持ちになることもしばしばでしょうか。ただ、その土地土地の良さを活かしつつ、少しずつ変わっていくこともまたあるべき姿なのかもしれません。

 

それでも、見た目が変わってしまっていても、その場所に降り立った時に感じる風の匂いというものは、意外といつまでも変わらずにいるものだと感じることがあります。深く呼吸をひとつしてみて、あぁ、また帰ってきたな、と匂いが感じさせてくれる、そんな記憶は、山であれば少しずつ成長を積み重ねる森の木々が、海であれば潮の流れが、私たちひとりひとりに届けてくれるものなのかもしれません。

 

新しい姿を楽しみつつも、変わらない記憶もいつまでも大切にできる様であれば―ただそのように感じられることをひとりひとりが心に留めおくことができれば、やがてそれが次の世代へ受け継いでいく記憶となるのではないかと思います。

 

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終活支援サイト『のこす記憶.com』がお届けする『のこす記憶.comコラム』では、日常生活の何気ない一コマから、のこし伝えていきたい記憶を不定期更新で綴ってまいります。