写真がつたえる記憶

いくつかの調査によれば、スマートフォンに保存している写真の枚数は男女、年齢で差があるものの、平均では1,000~1,300枚以上にものぼるそうで、カメラのデジタル化、そして携帯電話に最初はプラスアルファの機能的についていたデジタルカメラ機能がどんどん高性能化し、カメラを日常的に持ち歩く、持ち歩けるようになったことで飛躍的に写真を撮る機会が増えていきました。さて撮るものはというと、友達や恋人、家族など人物メインのものが一番多く、次いで自然風景、それから料理と続く様ですが、撮ってシェアして、というもはや一連の流れともなっている行動が反映しているところもあるでしょうか。

 

記録装置でもあるカメラ、撮られた写真の多くは、人や景色、料理といった被写体がそのまま丸々構図の中に入っていて、何の写真であるのかが撮った本人以外の人、その場に居合わせていなかった人たちにもよく分かるものが多いかと思います。ただ、デジタル化で折角たくさんの写真を撮れるようになったのですから、記憶装置としてもカメラをもっともっと使ってみては、と思うのです。何気なく撮影した一枚、たまたまある瞬間の自分の視線の先にあったものをとらえた写真など、本人やその場に居合わせた人以外には、一体何の写真であるのか、もしかすると見当もつかないようなものもあるかもしれません。ですが、その一枚から甦ってくる、あぁ、そういえばこんな話をしたよな、あんな顔をしていたっけ、といった記憶にはじまり、味や喧噪、その場の音楽であったり、あるいは肌で感じた空気や風の心地など、そこには写っていなくても、そこに凝縮された記憶がたくさんの一枚、きっと誰しもスマートフォンの中に眠っているのではないでしょうか。

 

 

デジタル時代にたくさんの写真を撮ることができるようになり、ところが写真を撮ったはいいけれどなかなか整理が進まないという方が増えてきています。A.I.などのテクノロジーを使っての整理技術も実装レベルに達してきていますが、それでも記憶の一枚は機械判断もなかなか難しいのは変わりません。日々の忙しさに追われる中ででも、むしろそれだからこそ、少しゆっくり腰かけて、写真を眺めてみてください。自分だけの、記憶の一枚がきっと見つかるのではないでしょうか。

 

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終活支援サイト『のこす記憶.com』がお届けする『のこす記憶.comコラム』では、日常生活の何気ない一コマから、のこし伝えていきたい記憶を不定期更新で綴ってまいります。