デジタル世代の会話と言葉を交わすことの大切さ

社会に出て働くようになり、隣の席の人から、自分が席に座っているのにもかかわらず普通にメールで連絡が来ることに驚いたり、違和感を覚えたりすることがあるのは、個々の差はあるにしても世代間で大きく感覚の違うことのひとつではないでしょうか。

 

デジタル化の促進は、人と人とのコミュニケーションにいろいろなオプションを与えてくれました。日々の遣り取りの中では、確かにいちいち直接話さなくても済むことや、簡単な記録とすることでよいもの、また一斉に伝達だけをすることで効率化できるような内容や、証跡を簡易に残すことが重視されるものも多々あります。しかし、それらはあくまで連絡方法のオプションでしかなく、人と人とのコミュニケーションそのものが単純に変わってしまったということではないと思うのです。

 

もう何年も前ですが、知人に、社員から退職届がメールで来て困ったという話を聞き、その感覚にはさすがに驚いたものです。ただ、おそらく送った当人にしてみればそれほど違和感のあることではなかったのかもしれません。

 

総務省「全国消費実態調査」における30歳未満の単身勤労者世帯の食費内訳の変化からは、特に男性のアルコール離れが指摘されています。飲みニケーションでガス抜きをする、なんてこともまた組織の中では必要なことかとも思いますが、そのあたりは一昔前の方がもしかしたらシンプルであったのかもしれません。何れにしても、メールで退職届を送りつける前に、少なくとも話をしてみようと思える場や雰囲気があれば、違ったのではないかな、とは考えてしまうのです。尤も、趣味趣向の多様化が進む現代、お酒の強要は容易にアルコールハラスメントにつながり、不満のガス抜きどころか、不満を蓄積させてしまうことにもつながってしまいますが、別にお茶でも他の何かでも、何だっていいのです。話しやすい場をつくることの大切さを忘れないように心がけたいものですね。

 

たとえ日々煩雑であっても、いや、煩雑であればあるほど、会って話すことで結果的に早く分かり合えることや、電話一本かけることでメールを何回もやり取りするより話が早く進むということもあります。人との遣り取りの方法に様々な方法が増え、迅速に、確実な遣り取りができるようになってきていますが、人と人との遣り取りであるということ自体は、昔から何も変わってはいないのです。どうやったらしっかりと分かり合えるだろうか、それを心に留めてコミュニケーションの方法を選んでみると、案外物事がスムーズに進むことも多いかもしれません。

ちょっと話そうよ、といつでも言える関係を築くことの大切さを、伝えていければと感じます。

 

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終活支援サイト『のこす記憶.com』がお届けする『のこす記憶.comコラム』では、日常生活の何気ない一コマから、のこし伝えていきたい記憶を不定期更新で綴ってまいります。