銭湯

町中で見かける銭湯のシンボル、煙突の姿。だんだんと見かけなくなってきている、既に懐かしい景色のひとつと言えるでしょうか。

 

厚生労働省の調査によれば、施設数でみても平成27年3月末現在の公衆浴場の営業許可施設数は26,221施設、そのうち、公営と私営の普通浴場を合計した、いわゆる一般公衆浴場(いわゆる普通の銭湯はこちらに該当します。)は4,293施設となり減少が続いているという状態です。

 

最たる理由に掲げられる内風呂の普及が急速に進んできたのは昭和三十年代で、浴室のある公団住宅の大量提供がそれに拍車をかけたのですが、昭和三十八年の住宅統計に関する調査によれば、普及率はおよそ6割、日々銭湯に行かなくても、自宅で入浴をすませることのできる家庭が増えた時代でした。

総務省『平成20年住宅統計調査』によれば、住宅の浴室保有率は実に95.5%にまで達しています。

 

6世紀の仏教渡来の際、沐浴の功徳を説き、汚れを洗うことが仏に仕える者の大切な仕事という考えに基づき寺院に設けられた『浴堂』が銭湯の起源とも言われますが、銭湯は世界でもめずらしい我が国の文化として、近年では外国人観光客の間でも人気が高まっています。

 

いわゆるタトゥー(入れ墨)問題では議論が分かれているところですが、2020年に向けてますます訪日外国人観光客が増えていくことが考えられます。そのような中、お互いの文化の違いを尊重しつつ、違いを教え合い、より多くの人に日本らしさを体験してもらう工夫や考え方が広まり、やがていろいろな形で世界のどこかに日本の記憶がのこされていくきっかけとなってくれれば、と思います。

 

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終活支援サイト『のこす記憶.com』がお届けする『のこす記憶.comコラム』では、日常生活の何気ない一コマから、のこし伝えていきたい記憶を不定期更新で綴ってまいります。