アサガオの観察で学ぶこと―継続と忍耐―

アサガオを育てて観察することといえば、今も昔も変わらない小学校1年生の定番課題のひとつでしょうか。種を植えて、毎日水をやり、その成長を記録する―あぁ、自分も子供の頃にやったよ、と思い起こされる方も多いかと思います。

 

昔は理科、今は生活科という授業に含まれますが、このアサガオの観察、文部科学省による学習指導要領では“気付き”と表現されています。毎日休まず世話を続けることが求められるところも、教育上アサガオが選ばれる理由のひとつの様ですが、植物を育てていく中で、植物の成長と自分の成長とを照らし合わせるような指導により、その過程での気付きを生みやすいということが変わらず続けられている理由ではないでしょうか。

 

百聞は一見に如かずと言いますが、子供たちは、さて植物の成長の想定などを聞いても、やはり限られた子供の知識や経験の中では、なかなかピンとこないところも多いのだろうと思います。水をやった次の日に芽が出ていないと言い、それでも水をやり、次の日もまだ芽がでない…それでも続けていくと、やがて芽が出て初めて目に見える変化に気が付くのですが、分からないながらにも言われた通りに続けてみることで、どのくらいでどんな変化が起こるのか、そして次に何をどのくらい続ければ、どんな変化が起こるのか、ということを体験することで、継続と忍耐とを学んでいくのではないかと思います。

 

そしてそこで学んだ基本姿勢は、学年が上がっても、社会に出ても、取り組む課題の中身が複雑になってはいても通用する基本中の基本だと思うのです。

 

社会構造の変化の内容や、その速度も著しく、先が読めない時代と言われますが、ゆえに経験と情報分析から導き出した推論に基づいて行動し、しっかりと定点観測をし、そして必要に応じた進路修正をすることが求められてきているのだと思います。そして正解はひとつではないにしても、その場に適した行動を計画できる『観察力』がより一層求められる今、懐かしく思える小学校時代のアサガオの観察記録に立ち戻って、情報分析の元となる定点観察を思い出してみることで、もしかしたら見えていたつもりだけだったものが、はっきりと見える様になるかもしれません。

 

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