Rockをもて仏教す Part 6

ロックの歌詞から面白いなあと感じるところを切り取って、勝手に仏教解釈をしてみます。前回のBad Religionと同時期に好きになったThe Offspringから、The Kids Aren’t Alrightです。
 
When we were young the future was so bright
The old neighborhood was so alive
And every kid on the whole damn street
Was gonna make it big and not be beat
 
Now the neighborhood’s cracked and torn
The kids are grown up but their lives are worn
How can one little street
Swallow so many lives
 
 
なんともまるで今の日本だなあと思えてしまう冒頭です。昭和48年生まれの私からしますと、ああ、そうかもね、と昔が懐かしんでセピア色。私が生まれ育った街も様変わりしたことでしょう。一緒に遊んだ仲間たちはどうしているかなあ。1人も消息知らんなあ。小学校入学から仲良くしてもらったH君、明るい未来を歩んでくれているだろうか。でも多分、40代になればそれぞれ皆モヤモヤ抱えながら生きてるんだろうなあ、と思わず哀愁漂ってきてしまいます。The Offspringも「泣きコア」ですからね。うんうんと大きく頷いて涙目でも構いません。
 
諸行無常なのです。平家物語そのものがこの世であり、鐘の音のように響いては消えていく。桜の花のように、美しく咲いては散ってゆく。桜の話は、明日は嵐がふくかもしれずとも、それでも文字通り懸命に咲いています。散り際に美しさを見るのは、日本人の情けでしょうか、それとも達観した美徳とも言えるでしょうか。私には良く分かりませんが、洋の東西を問わず、諸行無常であることは普遍です。仏教は現実直視の世界観を持っています。現実の苦悩からの脱却として、苦悩の原因を自己のみへ求め、瞑想修行によって自己解決に至るのがインド仏教です。直視して修行スタート。
 
パンクロックはとても現実的です。私はパンクロックが大好きです。
 
 
善福寺 住職 伊東 昌彦

 

善福寺の公式サイトはこちら
 
『Rockをもて仏教す』のアーカイブはこちら